回り道
楽に安全に早く、要するにできるだけ近道をして目的に達したいと誰しも思います。
しかし、目的に達することだけに意味があるのではなく、途中の景色を眺めたり、
道に迷うて苦労をしたり、思いがけない人に会ったり、ということも大変意味のあることなのです。
そして、近道を選んで事足る場合ももちろんありますが、回り道をする面倒さを避けては
その意味の良く判らない場合もあるのです。
人生はあとの方です。無理に回り道をする必要はありませんが、少なくとも近道だけはするまいと
覚悟して生きたいものであります。
藤木正三(牧師 1927〜 『灰色の断層』より)
登山の目標は、山頂と決まっている。しかし、人生のおもしろさ、生命の息吹の楽しさは
その山頂にはなく、却って逆境の、山の中腹にあるといってよい。
吉川英治(小説家 1892〜1962『新書太閤記』より)
福音社『サインズ・オブ・ザ・タイムズ』2008年7月号 今月の言葉より引用