カール・ツァイス。この響きはいかにもドイツだ!という感じがする。日本製CONTAXが発売された時、そのレンズ群のほとんどにMade in West Germanyの刻印が刻まれ、ボディは日本製だけどレンズはドイツでっせ〜と主張していた。テッサー、プラナ−、ディスタゴンなどレンズごとに名前が付いているのもかっこ良かった。 ところが、このコンタックス、驚くほど値段が高かった。ツァイスのプライド、ブランドイメージ故の強気の価格設定だったのかどうか知らないが、何しろ高かった(今でも高いが・・・) そのため、お大尽カメラなどと呼ばれていたものだ。 コンタックスの値うちはそのレンズ群である。ツァイスの長年の技術に蓄積に裏づけされたレンズはどれも優秀で、さすがツァイスとうなるだけの性能を誇っている。 そんなコンタックスをいつか使ってみたい。ツァイスレンズを手にしてみたいと憧れていた。 現在の仕事を始めた頃、まずプラナー85mmf1.4を購入した。このレンズは数々の逸話を持つ、ツァイスレンズの中でも、とりわけ高性能な超有名レンズである。続いてディスタゴン25mmf2.8を追加購入したが、何しろ高価格でボディはヤシカという情けない状態からスタートした。この2本はツァイスレンズのほとんどが日本製になる前のMade in West Germany刻印のあるもので、私にとっては宝物である。ボディはその後S2を購入したが、レンズの追加購入はその使用状況からも他のレンズの必要性がなく、最初に買った2本だけで済ましていた。 少し前置きが長くなった。 今回、ほぼ15年ぶりにツァイスレンズを購入した。Planar50mmf1.7である。中古カメラ店に依託品で出ていたものを購入したのだが、このレンズ、ツァイスレンズ群の中でも廉価版(定価でもそう高くない)と見られているのか、人気がなく、使っている人をあまり見たことがない。レンズ自体は日本製であるがCarl Zeissの刻印が誇らしく刻まれている。ツァイスのレンズは他の同クラスのレンズと比べて大きく、重めなのだが、このレンズは鏡銅がプラスチックで軽くコンパクトにできている。 お試し撮影してみると、使いやすく、写りも上々だ。最小絞りがf16までなのが困るが、それ以外は十分満足できる。プラナー85mmのような絞り開放でのピント合わせの困難さもないし、描写性能はめちゃくちゃ良いとは言えないが、開放から絞り込んでいっても極端に破たんすることがない。この辺のツァイスの設計の上手さは凄いと思う。色再現性は見事。日本製とはいえ、さすがツァイス。お試し撮影は夕方行ったのだが、夕日に染まる頬を見たままに自然に再現していた。同時に他のレンズのお試しも行ったのだが、その差は歴然としていたのであった。 |
Zeissのライバル、ライカで遊ぶA嬢を撮影。このレンズは夕日の色合いを上手く再現してくれた。描写自体はおとなしめだが、柔らかい中にもメリハリのある描写をする。 |