ジュール・ヴェルヌ「15少年漂流記」コレクション
ジュール・ヴェルヌの名作「十五少年漂流記」のタイトルは誰もが知っていると思います。ほとんどの方が読んだ記憶があるのではないでしょうか?私は夢中になって読んだ記憶があります。初めて読んだのは小学生の頃で、初めて自分の本として入手した本も「十五少年漂流記」でした。以降、様々な訳で読みました。今でも読む本がない時や旅行の際に持ち出す本の一つとして手に届く場所に置いてあります。
日本では子供向けの物語のイメージが強い「十五少年漂流記」ですが、本来は大人向けに書かれた物語です。原題は「Deux ans de Vacances=二年間の休暇」なのですが、明治29年、森田思軒が英訳から重訳し日本での初訳となった「十五少年」が大ベストセラーとなり、そのタイトルが後々出版された書物に引き継がれたため「十五少年漂流記」が我が国では定着しています。また、多量の「十五少年漂流記」が出版されていますが原本が非常に回りくどい記述が多いことから、オリジナルに忠実な完訳はほとんどなく、抄訳が多いのも「十五少年漂流記」の特徴でもあります。中には「十五少年漂流記」とタイトルではなっているものの、徹底的に簡略化したものもあります。
ストーリーについてはあまりにも知られた物語のため詳述しませんが、無人島に流れ着いた15人の少年がお互い助け合って、さまざまなトラブルを克服し生き延び、無事、帰還するまでの過程を記したものです。日本ではヴェルヌの代表作の一つとされ、数多くの「十五少年漂流記」が出版されているため、欧米でも評価が高いのかと思うと以外と知られていないそうです。むしろ「八十日間世界一周」や「海底二万里」のほうが良く読まれているといいます。
最近は「十五少年漂流記」のストーリーは現実ばなれしすぎている。黒人少年の扱いが不当であるなどと一部では酷評されていますが、この物語が書かれた頃(1880年)の時代背景を知った上で読めば、非常に優れた物語であることは間違いありません。何度読んでも飽きが来ない希有な物語でもあります。

私が「十五少年漂流記」のコレクションを始めたのはちょっとしたきっかけからです。リサイクル書店の文庫本コーナーを物色していると旺文社文庫の「十五少年漂流記」が目に入りました。今は文庫本からは撤退した旺文社の文庫ということと、大好きな「十五少年漂流記」ということもあって手にした所からスタートしました。
本棚をずっと見ていくと、そこここに「十五少年漂流記」があります。さすが長年に渡って重版された書物だけあって、同じ会社から出ている文庫でも版によって装丁もさまざまです。
棚のはり紙を見ると「この棚は全部100円」とありました。これを見た瞬間、「十五少年漂流記」を集めてみようと思い立ったのです。
最近、本にかけるお金は我が家の財務省の締め付けがきびしく減少の一歩です。独身時代のように湯水のごとく本に注ぎ込むことは不可能になっています。リサイクル書店はそんな当方にとって安価に本を入手できる強い味方なのですが、いつもいつも欲しい本を見つけることはできません。時には手ぶらということもあるのですが、それでは何か淋しい感じがしていました。なにか1册でも買わないと落ち着かないのです。
その点「十五少年漂流記」は出版点数が非常に多く、また重版されるケースが多いこともあり、この本がないリサイクル書店はほとんどありません。ということは「十五少年漂流記」を探せば他に買う本がなくても1册は納得できる買い物ができると考えました。
このコレクションを開始するにあたり、私はコレクションが泥沼化するのを避けるため、一つだけ条件を設けました。「100円均一もしくはそれ以下の値段の「十五少年漂流記」を集めること」。まだスタートしたばかりなのでどれだけ集まるか分かりませんが、思い入れの強い物語だけに探す楽しみにはまっています。缶コーヒーより安い値段で大好きな物語の書物を集めることができるのですから・・・・・・・。

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