徳模連隊広報部発表 我徳模連隊ハ本十九日未明静岡方面ニ於テ戦闘状態ニ入レリ |
「さあ行くど!本番じゃ!」山上連隊長の勇ましいかけ声とともに我が部隊は静岡ツインメッセ合同展示会場乗り込んだ。ここが2日間におよぶ当部隊の戦場である。周りは腕に自信のある全国から集まった猛者部隊ばかりである。その数101に達する。 「相変わらず阿呆がようけおるの〜」自らがその阿呆であることを自覚せず、展示台の準備をしながら、当部隊員は不敵な笑みを浮かべ周囲を見渡している。このあたりは古参部隊のゆとりである。 「お久しぶりでやんす」当部隊の前を通る顔見知りの他部隊の方々から頻繁にあいさつされる。みんな今年も飽きもせず、ここにやってきている。いきなり模型談義に花が咲く。一般入場開始の9時前には同じようにあちこちで話に興ずる固まりが形成されていた。 「いや、まっこと凄かとこやねぇ〜」今回、初参加の森澤土佐模型クラブ会長(以下、名称が長いので土モ会長と略す)は目を丸くしている。 「どや、ごついやろ。わしやは慣れたけどな」 「中途半端な作品ではここでは歯がたたんでよ」 お隣の展示を見ただけでも、その作品のグレードは高い。地方の作品展とはレベルが違うのである。「まいったねぇ〜。もう少し気合いをばいれんといかんね」あふれかえる熱気にいきなり土モ会長はびびってしまっているのであった。 「哲ちゃん!触るなっていうたやろが!」 作品を並べる合間に聞こえた怒鳴り声である。またしても破壊王・哲ちゃんは頼みもしないのに人の作品を勝手に移動している。特に今回は巨大で繊細な作品が多いだけに哲ちゃんだけには触れてほしくないとみんな思っていたのである。 展示前に破損してしまっては、特に輸送中に壊れたならまだしも、哲ちゃんに破壊されたのではたまらない。(今回、久保会員のキットの一部が輸送中に破損していたが、これらの責任は全て哲ちゃんにかぶせておいた・・・・・) 今回間貸しした「土佐模型クラブ」の看板も取り付けられ、今回はTMC単独ブースには見えない展示台が仕上がった。 「うちのブースに間借りしたクラブは出世するけんな」山上連隊長が土モ会長に言っている。 「昔な、上原あたるちゃんが一人でさみしそうにしとったけん場所貸したったんじょ。それが今やエーデルワイスちゅうAFV界では一目置かれるクラブに成長したんでよ。あんたも頑張らんとな。来年は単独で来なあかんでよ・・・・」 「ところで、おまはんとこ略したらTMCになるでぇ〜。TMCはうちの登録商標やけん勝手につこうたらあかんでよ。別の名前にせんとな」看板を見て連隊長がぽつり。 土佐模型クラブを略すと当部隊の略称と一緒になってしまうのである。 「土佐黒潮クラブとか豪勇会佐川支部やどないで」よそのクラブの名前を勝手に変え出した当部隊員に土モ会長は一言「むちゃいいな、うちは釣りのクラブと違うき・・・・・」 冗談なのか本気なのかわからない当部隊の口撃にとまどい気味であった。 「わしらちょっと出かけてきますけん」山上連隊長と吉本軍曹はそそくさと別部隊のブースへ出かけてしまった。2人はTMCの他にも加入している部隊があり、そちらにも作品を持込まねばならないのだった。 「我んとこの作品もなかなか出来んのにあの二人なに考えとんじゃ」の声もあるが二人はいっこうに気にしていない。ここ数年は自分らの原隊でいるよりも他部隊でいる方が多くなっている。特に濃い軍用車輛クラブホイルナッツのブースには入り浸りである。他会員もそれぞれ懇意にしているクラブがあり、公開開始1時間もしないうちに当部隊はバラバラ。ブースの見張りは土モ会長に一任してみんな逃げてしまったのであった。 |